結婚して30年、40年という夫婦は私の相談者様のなかにもけっこういます。
これまで小さなことで度々ケンカはしてきたけど、
夫の不倫を知るまで夫婦仲が悪い認識はなかったと言う50代後半の相談者様。
しかしある時期に大きなケンカをしてしまい、その後気まずい空気が漂っていた。
そうこうするうちに段々と夫婦の会話が少なくなり、
寝る部屋も別室になり家庭内別居になっていた。
そんなある日、夫からまさかの言葉が投げかけられた。
「こんな(夫婦の)状態は普通ではない。お互い避けているよね。
自分はもう耐えられないし我慢の限界。
別居した方がよいのではないか。」
確かに自分(妻)も認めることはあった。
でも自分ばかりが責められるのは腑に落ちなかったが、別居も離婚もしたくない妻は、
「悪いところは直すし努力するから、このまま夫婦同居でやっていきましょう。」
と言うしかなかった。
夫婦関係の修復を言う妻に、夫は首をかしげながら「どうかなあ」と言っていたが、
妻は夫に折れてその場を乗り切ったわけです。
しかしその後の夫婦関係もひんやりとしていました。
妻は明るく夫に向き合うようにしたが、どこかギクシャクしていたし、
夫も居づらい様子。
とても夫婦をやり直す空気ではありません。
そしてある日、また夫がこんな事実を自白してきたのです。
「言えなかったことがある。
これまでを振り返り、あなた(妻)は、妻としてお母さんとして立派にやってきてくれた。
子供をちゃんと育ててくれた。本当に感謝している。
でも、僕たち夫婦はどうだったのか。
〇年前からよくなかったと言えないか。
あなた(妻)だって、俺に気持ちなんてなかったよね。」
さらに夫は続けました。
「夫婦のことで悩んでいた頃から一人の女性に僕たちのことを相談していたんだ。
今となっては彼女は大切な人。
僕は彼女と別れられないし、彼女のことが好きだ。
それに彼女も僕を必要としてくれている。
離婚を考えて欲しい。」
別居の次は、女。それに大切で好きな人と言い、離婚まで切り出してきた。
妻にとって聞きたくない言葉を一挙に投げかけられたのです。
何も言えなく黙ってしまった妻に、夫はそれ以上追い詰めてはきませんでした。
ごめんなさい。
怒った?
離婚を考えてみてくれ。
そんなワードだけが妻の耳に入ってきたのです。
夫に離婚を切り出されてから、気まずい雰囲気は漂うものです。
気まずいというか、妻も夫も何も言えない状態で、相手の出かたを伺っているかのよう。
表面的には夫も妻も普通に振舞っている。
夫から何も言ってこないのに、あえて妻から話し合いを持ちかけたら、
夫はまた離婚を迫ってくると不安でならなかったのです。
この問題から逃げたい。
離婚にも不倫という問題にも触れないことが妻の自己防衛だったのです。
夫はあれからもたまに不審な外出をし続けています。
不倫相手に会っていることは間違いありません。
でも、それすら指摘できない妻だった。
しかしこのような状態がずっと続くものではありません。
妻が何も言わなくても、夫から圧力をかけてくることはあります。
それがよくある、
「もう俺のことはかまわないで欲しい。
ご飯は作らなくていい。(弁当は作らなくていい)。」
経験された相談者様は実に多いものです。
実際、ここまでの流れできて、カウンセラーに相談される方が多いものです。
要するに夫婦が膠着状態のまま。
話し合いもできないまま。
夫が何も言ってこないから、離婚の気持ちがなくなったのか。
そうとらえる方は少ないと思いますが、
夫も強く言えないだけです。
夫婦がどうだったにしろ、自分が外に女性をつくり、
妻に離婚を切り出していることは自覚しています。
だから妻を説得し納得させたうえで離婚したいのです。
悲しみふさぎ込む妻の顔色をうかがっているような夫もいます。
でも、妻もこのままでは何も変わらないという思いもあります。
相談している方に、勇気を出して意思を通しなさいとアドバイスされたります。
で、妻は夫に切り出したのです。
妻は勇気を出して、夫に不倫相手のことを聞きました。
夫は隠すことなく答えました。
彼女は50代後半。夫と知り合った頃は旦那さんがいたが、
5年前に離婚して二人の子供と暮らしていること。
今働いている職場も教えてくれましたが、名前、住所、携帯番号までは言いません。
そして夫はまた同じことを言いました。
彼女は一人では生きていけない人。
自分がお金を援助している。
彼女とは別れられない。
離婚を考えて欲しい。
当時、不倫相手夫婦は破綻状態だったのでしょう。
夫との不倫恋愛が離婚に向けて彼女の背中を押し、離婚に至るケースはよくあります。
離婚したら自分が責任をとる、信じて欲しい。
僕の夫婦も破綻してるし、離婚を考えているという言葉。
夫はそんな言葉もかけていたでしょう。
それがまた不倫相手に対する夫の罪悪感を強くさせている。
不倫相手のことをある程度知った妻でしたが、妻の気持ちは変わりません。
「私はやり直したい」と。
夫はため息はつくものの、そんな妻を責めることはありませんでした。
それにたまに妻に気づかう態度をとる夫だった。
どれだけ妻の心が救われたか。
だから妻には期待が少し残っていました。
「自分次第では別居も離婚も回避でき、夫婦関係を再構築できるのでは」と。
夫との話し合いが必要なのに、どう切り出していいのか。
それに夫と話し合いになるのか不安。
とにかく、不倫相手のことを言うのはやめよう。
別れて欲しいと言わないようにしよう。
時間はかかるけど、なんとか離婚も別居も回避してやり直したい。
夫はまだ家に居るのだから。
そんな反面、「夫と別れたほうが楽になるのかな。」
と思うときもあります。
妻が夫にどう向き合っても、期待する反応がない。
二人での外出を誘っても、何も言わない。一緒に行動するつもりがない様子で、
勘弁してほしい顔をしている。
妻にかかわらないような態度の夫。
そんな夫に心が折れてしまう妻。
私(妻)はいったいどうしたいんだろう。
そんな葛藤が襲ってくる日々。
このような妻の心の葛藤は、カウンセリングでも重要なテーマになります。
私(妻)はどうして夫と離婚したくないのかと自問してみた。
離婚したら一人になってしまう。
寂しい。
世間体がある。
長く夫婦でやってきて、今さらこの歳で離婚か!?という思いがある。
この妻と同じような気持ちの方もいるはずです。
長い結婚生活を振り返ってみると、
子育てと自分の仕事に一生懸命だった。
家庭を守らなければいけない気持ちが強く、自分で何もかもしてきた。
そこそこの収入も得て、家事育児もやり切った妻だった。
夫は逆の人。
私(妻)に劣等感があったかもしれない。
夫を頼る弱い可愛い女性が夫はよかったのかもしれない。
おそらく自分は夫の承認欲求を満たせない妻だったかもしれない。
夫が求めていた愛情は足りなかったかもしれない。
不倫をして離婚を切り出してきた夫がそう見えてくる。
夫にもそんな思いを伝えたことがあるが、下を向いたまま黙っている。
図星なのだろう。
でもしつこく言い続けると段々と苛立ち、それ以上言わないでくれという態度。
さらに夫は、いろいろな言い方で妻に離婚を迫ってくる。
俺は最低の男だ。
一緒にいたら、ずっと続く。
彼女とは別れられない。
そのような言葉に妻の心はさらに深く傷ついていくわけです。
やはりいつまでも小康状態が続くとは思えません。
妻の期待に反して夫の離婚の意思が固いことは明らかだったのです。
初めて夫が自白してから半年から1年くらいが過ぎ、
あらためて夫が強く離婚を迫るケースは多い。
「こんな生活をしてても苦しくなるだけだ。」
夫は別居ではなく離婚を言ってきている。さらにこんなことを言う夫もけっこういます。
「離婚したら俺たちの関係はよくなる。」と。
妻からすれば意味不明です。
どうして夫はこういう発言をするのかは、個々にお伝えしますが、
妻の、「あなたが家に居てくれることで支えられる。」とか、
「あなたは大切で、かけがえのない夫です。」と言っても、
「俺でなくてもいいだろう」と冷めた言い方で返す夫もいます。
もうこの人を止めることは私にはできない。
妻をそう悲嘆させるには十分な言葉でしょう。
実際、妻への当たりが強くなるとき、
裏では夫と不倫相手との恋愛事情があることは明白です。
つまり不倫相手がこれまで以上に彼(不倫夫)に意思表示をしてきたケースは多い。
彼との別れです。
夫婦に進展がなければ関係の終わりをほのめかす女。
今まで、待ってくれとか、妻と話をしているからとずるずるしてきた。
さすがに不倫相手も堪忍袋の緒が切れたということです。
不倫夫の多くは、このような段階で急に行動を起こすことがあります。
不倫相手を失いたくないから、離婚を強く迫る。
離婚ができないなら、すぐにでも家を出て別居する。
不倫恋愛ではよくある流れです。
この段階では夫はかなり本気です。
本来はこうなるまでに夫婦関係が少しでもいい方向に戻ってくれていたら違うのですが、
この状況で夫が家を出て行くことは、なかなか止められません。
いったん別居を容認することになりますが、
夫に首輪をつけて出て行かせないことは無理ですし、現実的ではありません。
すぐに引きちぎって逃げていくはずです。
また、不倫相手に行動をとることを考える方もいます。
ですが、その対処は、やって効果があるケースの方と、NGな方と分かれます。
夫が離婚を考えていたのは、かなり前からだった。
でも、なかなか決断ができずに長い年月が経った。
まさか不倫していたとは思っていない妻も多いでしょう。
しかし、過去を振り返ると、昔も女性関係があった(疑惑も含め)と指摘する妻も意外といます。
夫は家を出ることで、まだどちらも失わない選択ができた状態です。
ただどちらも失わない選択(いいとこどり)を望んでいたわけではない。
離婚の気持ちが固まっていたことは事実だから。
でも、一人で離婚はできないし、妻が離婚を承諾しないのだから、
別居の選択しかないのです。
別居をする夫たちにはこんな思いがある。
俺には(不倫相手のこともあるし)この選択しか考えられなかった。
だから別居しても力になる(サポートする)。
いい感じでコミュニケーションはとれると思う。
「離れたらいい関係を築けると思う」なんて言えるわけです。
ほんと認識が歪んでいます。
しかし「こうなったのも夫婦の問題、当然の結果だ」という思いもある。
夫は本当に家を出て行きました。
でも、妻の中にはこう感じている方も多い。
夫が出て行ってから、ストレスが減りました。
夫がいない状態がむしろ心地いい。
このような事例は少なくありません。
この先、夫は戻るのか。不倫相手とはどうなるのか。
そして妻はこれからどう夫に向き合うことが正解なのか。
そのような相談は後が絶ちません。
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